※本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。制度は変更される場合があるため、実際の飛行・申請にあたっては必ず国土交通省の最新情報をご確認ください。
無人航空機の事故は、飛行前の準備不足が原因になっていることが多いです。教則にもそう明記されています。国土交通省の教則では、操縦者に求められる基本姿勢として、自覚を持つことと、準備を怠らないことの2つを挙げています。この記事では、教則の記載をもとに、操縦者としての心構えと、飛行前に確認すべき項目をチェックリスト形式でまとめます。
無人航空機を飛ばす人に求められる「基本姿勢」とは
教則が求める操縦者の基本姿勢は、大きく2つに分けられます。ひとつは、操縦者としての自覚を持つことです。もうひとつは、飛行前の準備を怠らないことです。
無人航空機は、操作を誤れば人や財産に危害を与える可能性があります。だからこそ、操縦者には強い自覚と、事前の入念な準備が求められます。教則では、この2つを土台として、役割分担・ルール遵守・安全な飛行の確保といった具体的な行動指針が示されています。
操縦者としての自覚を持つ
教則は、操縦者としての自覚について、次の3点を挙げています。
- 無人航空機の運航や安全管理などに対して責任を負うこと
- 知識と能力に裏付けられた的確な判断を行うこと
- あらゆる状況下で、常に人の安全を守ることを第一に考えること
この3つは、免許を取得した後も変わらない、操縦者としての基本的な心構えです。
操縦者は、飛行を開始してから終了するまで、すべての場面で安全に責任を持つ立場でもあります。第三者や関係者が危険を感じるような操縦は避け、常にその安全を意識する必要があります。
役割分担を明確にする
技能証明の保有者が複数いる場合は、誰が操縦者なのかを飛行前に明確にしておく必要があります。
補助者を配置する場合も、役割を確認し、操縦者との連絡手段を確保しておくことが求められます。人数が増えるほど、誰が最終的な判断者なのかがあいまいになりやすいため、飛行前の役割確認は欠かせません。
ルールとマナーを守る
安全のためには、法令やルールを守るだけでなく、その場所ごとのマナーも意識する必要があります。
- 空域は無人航空機だけでなく航空機も利用しているため、進路が交差または接近する場合は無人航空機側が回避すること
- 飛行させる場所ごとのルールや遵守事項に従い、社会通念上のマナーを守ること
- 飛行に際して、騒音の発生に注意すること
無理な飛行はしないという判断基準
教則は「無理をしない」ことも、操縦者の基本姿勢として挙げています。自然を侮らず、謙虚な気持ちで飛行することが大切です。
危険な状況を乗り切ることより、危険を事前に回避することのほうが重要だとされています。計画を中止する勇気や、機体を帰還させる判断力も、操縦者に求められる資質です。
ここからは、飛行前に何を準備すればよいか、具体的に見ていきます。冒頭でも触れたとおり、教則は準備不足が事故の原因になりやすいと指摘しています。
飛行計画を立て、飛行場所を事前に調べる
教則は、近所や飛行経験のある場所であっても、必ず飛行計画を立てるよう求めています。
飛行計画には、次の内容を盛り込みます。
- 無人航空機の性能、操縦者や補助者の経験・能力を考慮した無理のない計画
- 緊急着陸地点や、安全にホバリング・旋回できる場所などの対策
- ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)の飛行計画通報機能への事前通報(事前の通報が難しい場合は事後でもよい)
現地調査では、次の項目を確認します。
- 日出や日没の時刻
- 標高(海抜高度)、障害物の位置、目標物
- 離着陸する場所の状況
- 地上の歩行者や自動車の通行、有人航空機の飛行などの状況
地方公共団体によっては、無人航空機の飛行を制限する条例や規則を設けている場合もあります。立入禁止区域が設定されていることもあるため、緊急用務空域や飛行自粛要請空域とあわせて、飛行予定地域の情報も確認しておきましょう。
機体を点検し、気象情報を確認する
飛行前には必ず機体を点検します。気になるところがあれば、飛行を始める前に整備を済ませておきましょう。
気象情報も欠かせません。天気、風向、警報、注意報など、最新の情報を飛行前に収集します。
服装と体調を整え、技能証明書を携帯する
服装は、次の点に注意します。
- 動きやすいもの
- 素肌(頭部を含む)の露出が少ないもの
- 無人航空機の関係者だとひと目でわかるもの
- 必要に応じてヘルメットや保護メガネなどの保護具
体調が悪いと、注意力が散漫になり、判断力も低下します。前日に十分な睡眠をとり、疲労が蓄積した状態では操縦しないようにしましょう。アルコール等の摂取に関する注意事項も守る必要があります。
飛行の際は、携帯電話などで空港事務所等の関係機関と常に連絡がとれる体制を確保します。通話可能な範囲は、事前に確認しておきましょう。
特定飛行を行うときは、許可書または承認書、技能証明書(保有している場合)、飛行日誌を携帯します。口頭で許可等を受けていて、まだ書面の交付を受けていない場合は、許可等の年月と番号を答えられるようにしておきましょう。
飛行中と飛行後も注意を怠らない
飛行中は、天候が悪化しそうな場合、途中でもただちに帰還するか、緊急着陸します。周囲の監視を怠らないことも重要です。建物や自動車、電柱、高圧線、樹木など、飛行の支障になるものは数多くあります。衝突防止装置を過信せず、鳥にも注意しましょう。
飛行が終わったら、機体に不具合がないかを点検し、使用後の手入れをします。機体やバッテリーは、安全な場所に適切に保管しましょう。特定飛行を行った場合は、飛行記録・日常点検記録・点検整備記録を飛行日誌に記載します。
ドローン飛行前チェックリスト一覧
ここまでの内容を、飛行前に確認できるチェックリストとして一覧表にまとめました。

| 区分 | 確認項目 |
|---|---|
| 計画 | 無理のない飛行計画を立てたか |
| 計画 | DIPS2.0の飛行計画通報機能に通報したか |
| 現地調査 | 日出・日没の時刻を確認したか |
| 現地調査 | 障害物や離着陸場所の状況を確認したか |
| 地域情報 | 条例や飛行禁止区域、緊急用務空域を確認したか |
| 機体 | 機体を点検したか |
| 気象 | 最新の気象情報を確認したか |
| 連絡体制 | 関係機関と連絡がとれる体制を確保したか |
| 服装 | 動きやすく、素肌の露出が少ない服装か |
| 体調 | 睡眠不足や体調不良がないか |
| 携行品 | 許可書・技能証明書・飛行日誌を携帯したか |
一次資料:教則第5版 2.2「安全な飛行の確保」(2026年9月時点)
学科試験ではどう問われるか
第2章「無人航空機操縦者の心得」は、二等・一等どちらの学科試験でも出題対象です。特に問われやすいのは、次の2点です。
- 操縦者としての自覚(責任・判断・安全最優先)の内容
- 飛行前に確認すべき項目(飛行計画・現地調査・機体点検・気象情報など)
理解度を確認したい方は、分野別クイズ(無料)で操縦者の心得の分野を選んで解いてみてください。通しで力試しをしたい場合は、二等模擬試験(本番形式)もあわせてご利用ください。
よくある質問
飛行前のチェックリストに、決まった書式はありますか。
教則に、特定の書式は示されていません。この記事のチェックリストは、教則2.2の内容を項目別に整理したものです。
近所でいつも飛ばしている場所でも、飛行計画は必要ですか。
必要です。教則では、飛行経験のある場所であっても、必ず計画を立てるよう求めています。
技能証明書は、いつも携帯する必要がありますか。
特定飛行を行うときに携帯が必要です。技能証明を受けていない場合は、この限りではありません。
飛行前点検で不具合が見つかった場合は、どうすればよいですか。
一次資料には、具体的な対応手順の記載がありませんでした。教則は「整備をしてから飛行を開始する」としているため、不具合を解消しないまま飛行させることは避けましょう。
補助者がいれば、操縦者は自分で判断しなくてよいのですか。
いいえ。補助者を配置する場合も、誰が操縦者かを明確にし、操縦者自身が最終的な判断を行う必要があります。
まとめ
操縦者に求められる基本姿勢は、自覚を持つことと、飛行前の準備を怠らないことの2つです。教則が示す飛行計画・現地調査・機体点検・気象確認などの項目を、飛行のたびにチェックリストで確認する習慣をつけましょう。学科試験対策としても、操縦者の心得の内容を正確に理解しておくことが大切です。
出典:無人航空機の飛行の安全に関する教則 第5版(国土交通省)、国土交通省「ドローン情報基盤システム」案内ページ(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_ua_dips.html)


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