小型無人機等飛行禁止法・電波法とは?ドローンで注意すべき航空法以外のルール

心配そうな表情のパイロットくんが登場する、「航空法クリアでも安心できない ドローン飛行に関わる2つの法律 小型無人機等飛行禁止法・電波法」のアイキャッチ画像。 教則・法令コラム

※本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。制度は変更される場合があるため、実際の飛行・申請にあたっては必ず国土交通省・警察庁・総務省の最新情報をご確認ください。

パイロットくん
パイロットくん

航空法さえ守っていれば、どこでも飛ばして大丈夫ですよね?

ドローンアシスト
ドローンアシスト

実は違います。重要施設の近くや、電波の使い方にも別の法律が関わってきますよ

ドローンの飛行を制限する法律は、航空法だけではありません。国会議事堂や空港などの重要施設の周辺では「小型無人機等飛行禁止法」、無線設備を使って操縦や映像伝送を行う場合は「電波法」が関わってきます。

小型無人機等飛行禁止法は、2026年7月の改正で規制範囲が広がりました。この記事では、2つの法律について、規制される内容と罰則を整理します。

航空法だけでは足りない理由

航空法の許可や承認を得ていても、それだけで安心はできません。重要施設の周辺での飛行や、無線設備の使い方には、航空法とは別の法律が定める規制があるためです。

航空法そのものの規制は、飛行禁止区域の一覧や許可と承認の違いで解説しています。この記事では、航空法以外の2つの法律を見ていきます。

小型無人機等飛行禁止法とは

小型無人機等飛行禁止法は、国の重要施設やその周辺の上空で、ドローンを含む小型無人機等の飛行を禁止する法律です。航空法とは別の法律で、警察庁が所管しています。

100グラム未満の機体も対象になる

航空法の「無人航空機」は重さ100グラム以上の機体が対象ですが、この法律の「小型無人機」は大きさや重さにかかわらず対象です。100グラム未満のトイドローンも含まれる点に注意しましょう。

規制される場所はレッドゾーンとイエローゾーンに分かれる

規制される区域は、2段階に分かれています。

  • レッドゾーン:対象施設の敷地又は区域の上空
  • イエローゾーン:対象施設の周囲おおむね1,000メートルの上空

イエローゾーンの範囲は、2026年7月14日施行の改正で拡大されました。改正前は「おおむね300メートル」だったため、以前の情報のまま覚えていると、実際の規制範囲を見誤ります。

レッドゾーンとイエローゾーンの違いを示した同心円の図解。中心の対象施設を挟み、内側のレッドゾーンは施設の敷地・区域の上空で罰則は1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金、外側のイエローゾーンは周囲おおむね1,000mの上空で罰則は6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金であることを示し、イエローゾーンの範囲は2026年7月14日施行の改正で300mから拡大されたことを注記している。

対象施設は5つに分類されている

教則では、対象施設が次の5つに分類されています。

  • 国の重要な施設等(国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居、危機管理行政機関の庁舎、対象政党事務所、天皇又は内閣総理大臣が所在し国内要人が出席する行事会場など)
  • 外国公館等(外国公館、国際機関の事務所、外国要人が参加する国際会議の会議場施設など)
  • 防衛関係施設(自衛隊施設、在日米軍施設)
  • 空港(新千歳、成田、羽田、中部、伊丹、関西、福岡、那覇の8空港)
  • 原子力事業所

2026年7月の改正では、対象特別要人所在施設や、国際会議の会議場施設などが新たに加わりました。外国要人の来日などに合わせて、一時的に対象施設が追加されることもあります。

例外として飛行できる場合と通報の義務

飛行禁止の例外は、次の3つに限られています。

  1. 対象施設の管理者、又はその同意を得た人による飛行
  2. 土地の所有者等、又はその同意を得た人が、その土地の上空で行う飛行
  3. 国又は地方公共団体の業務のために行う飛行

ただしレッドゾーンのうち、防衛関係施設と空港の上空では、2と3の場合でも施設管理者の同意が必要です。また、例外にあたる場合でも、都道府県公安委員会等への事前の通報が必要です。

航空法の許可・承認や、技能証明・機体認証を受けていても、それだけでは例外になりません。

違反した場合の罰則は区域によって異なる

罰則は、レッドゾーンとイエローゾーンで重さが違います。

  • レッドゾーンでの飛行、又は警察官等の命令への違反:1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
  • イエローゾーンでの飛行:6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金

違反して飛行している機体に対しては、警察官等が退去を命じたり、やむを得ない限度で飛行を妨害したりすることもできます。

「拘禁刑」は、2025年6月1日に施行された改正刑法で「懲役」と「禁錮」を一本化した刑罰の名称です。航空法の条文も拘禁刑の表記に改められていますが、教則第5版の航空法の罰則表は「懲役」表記のままなので、教則を読むときは混同しないようにしましょう。

電波法とは

ドローンの操縦や映像の伝送には、電波を使う機体がほとんどです。この電波の利用を規律しているのが電波法で、総務省が所管しています。

電波を出す無線設備を日本国内で使う場合、原則として総務大臣の免許や登録を受けて無線局を開設する必要があります。ただし、電波がごく弱い無線局や、一部の小電力の無線局は例外です。

無線免許が不要なケースと技適マーク

次の無線設備は、無線局の免許や無線従事者資格が不要です。

  • 微弱無線局(73MHz帯など。無線設備から500メートルの距離での電界強度、つまり電波の強さが200μV/m以下のもの)
  • 920MHz帯の特定小電力無線局(20mW以下)
  • 2.4GHz帯の小電力データ通信システム(Wi-FiやBluetoothなど、10mW/MHz以下)

このうち920MHz帯と2.4GHz帯の小電力の無線局は、技術基準適合証明等を受けた機器であることが条件です。機器に付いている「技適マーク」で確認できます。市販されている一般的なドローンの多くは、技適マーク付きの2.4GHz帯を使っているため、免許や資格なしで飛ばせます。

なお、携帯電話(4G・5G)の上空利用は、携帯電話事業者が受けている包括免許のもとで運用されるため、利用者が個別に免許を受ける必要はありません。

無線免許が必要になるケースはFPVでの映像伝送に多い

一方、次のような使い方をする場合は、免許や資格が必要です。

  • 無人移動体画像伝送システム(169MHz帯・2.4GHz帯・5.7GHz帯。第三級陸上特殊無線技士以上の資格と、無線局の免許が必要)
  • FPVドローンでアマチュア無線を利用する場合(アマチュア無線技士の資格と、アマチュア無線局の免許が必要)

FPVとは「First Person View」の略で、機体のカメラ映像をゴーグルなどで見ながら操縦する方法です。無人移動体画像伝送システムを運用するときは、運用調整団体に加入し、ほかの利用者と電波が混信しないよう運用の調整を行う必要があります。

FPVドローンでアマチュア無線を使う場合は、5,690〜5,810MHzの中の決められた周波数しか使えません。また、10分ごとを標準として、自局を識別する呼出符号(コールサイン)を送信する必要があります。

アマチュア無線は、業務での利用が認められていません。空撮を仕事として請け負う場合は、アマチュア無線ではなく、業務用の資格を確認する必要があります。

電波免許が必要なケースと不要なケースを示した比較図解。左側の「免許不要」グループには微弱無線局(73MHz帯など)・920MHz帯特定小電力無線局(20mW以下)・2.4GHz帯小電力データ通信システム(技適マーク必要)の3項目、右側の「免許必要」グループには無人移動体画像伝送システム(第三級陸上特殊無線技士以上+無線局免許)・FPVでのアマチュア無線利用(アマチュア無線技士資格+アマチュア無線局免許)の2項目を示している。

違反した場合の罰則は無免許での開設や運用が対象になる

免許や登録を受けずに無線局を開設したり、運用したりすると、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象になります。

小型無人機等飛行禁止法と電波法を比較する

2つの法律の違いを、表に整理しました。

法律所管規制する内容罰則
小型無人機等飛行禁止法警察庁重要施設周辺の上空での飛行レッドゾーンは1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金/イエローゾーンは6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金
電波法総務省無線設備の使用1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金

所管する省庁も、規制する対象も、まったく違います。航空法の許可や承認とは別に、この2つの法律も確認が必要だと覚えておきましょう。

違反しないために確認すべきこと

小型無人機等飛行禁止法については、飛ばす場所が対象施設やその周辺にあたらないかを、飛行前に確認しましょう。対象施設の情報は、警察庁のWebサイトで公開されています。

電波法については、使う機体や送信機に技適マークが付いているかを確認しましょう。FPVで映像を無線伝送する場合は、必要な資格や周波数帯の条件も、あわせて確認する必要があります。

航空法に違反した場合の罰則は、航空法違反の罰則をまとめた記事で解説しています。電波の性質や周波数帯の特徴は、電波・磁気・GNSSの仕組みで詳しく解説しています。

よくある質問

航空法の許可・承認を得ていれば、小型無人機等飛行禁止法は関係ありませんか

関係があります。航空法とは別の法律なので、航空法の許可や承認、技能証明や機体認証があっても、対象施設の周辺では小型無人機等飛行禁止法の規制を受けます。

100グラム未満のトイドローンでも規制されますか

規制されます。小型無人機等飛行禁止法は、大きさや重さにかかわらず対象としており、100グラム未満の機体も含まれます。

小型無人機等飛行禁止法の規制範囲は、今後も変わりますか

変わる可能性があります。2026年7月の改正でも、対象施設と規制範囲が拡大されました。一時的に対象施設が追加されることもあるため、最新の情報はそのつど確認しましょう。

市販のドローンなら、電波法の免許は不要ですか

多くの場合は不要です。技適マーク付きの機体で、2.4GHz帯などの小電力データ通信システムの範囲内であれば、免許や資格なしで飛ばせます。ただしFPVで別の周波数帯を使って映像を伝送する場合は、資格や免許が必要になることがあります。

技適マークが無い機体を輸入して飛ばすと、どうなりますか

電波法違反になる可能性があります。海外製の機体を個人輸入する場合は、技適マークの有無を必ず確認しましょう。

アマチュア無線の資格があれば、ドローンを仕事に使えますか

使えません。アマチュア無線は、業務での利用が認められていないためです。空撮を仕事として請け負う場合は、業務用の資格を別に確認する必要があります。

まとめ

ドローンの飛行を制限する法律は、航空法だけではありません。重要施設周辺の上空を規制する小型無人機等飛行禁止法と、無線設備の使用を規律する電波法も、あわせて確認する必要があります。

小型無人機等飛行禁止法は、100グラム未満の機体も対象で、2026年7月の改正で規制範囲が拡大されました。電波法は、技適マークの有無と、使う周波数帯によって免許の要不要が分かれます。飛行前の確認を習慣にしましょう。

あわせて読みたい

二等ドローン国家資格の模擬試験はこちら

分野別に復習できる分野別クイズ(無料)はこちら

出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則」第5版/警察庁「小型無人機等飛行禁止法関係」/総務省電波利用ポータル「ドローン等に用いられる無線設備について」「FPVドローンをアマチュア無線により利用する場合の注意事項」/電波法第110条

コメント