※本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。制度は変更される場合があるため、実際の飛行・申請にあたっては必ず国土交通省の最新情報をご確認ください。

ドローンって、見た目はだいたい同じに見えるんですが、種類ってあるんですか?

あります。機体の種類によって、できることも操縦の感覚もかなり違うんですよ
ドローンと聞いて多くの人が思い浮かべるのは、複数のプロペラで飛ぶ機体です。しかし無人航空機には、ヘリコプター型や飛行機型など、いくつかの種類があります。
この記事では、教則第5版にもとづいて、機体の種類ごとの特徴と、大型機・夜間飛行・目視外飛行で変わる注意点を整理します。
無人航空機の主な機体の種類
教則では、主な無人航空機として次の4つを挙げています。
- 回転翼航空機(マルチローター):複数のローターで飛ぶ、いわゆる「ドローン」
- 回転翼航空機(ヘリコプター):1組の大きなローターで飛ぶ機体
- 飛行機(固定翼):主翼で揚力を得て飛ぶ、翼のある機体
- パワードリフト機:垂直離着陸と前進飛行の両方の特徴をあわせ持つ機体
マルチローターとヘリコプターは、垂直に離着陸でき、空中で静止するホバリングもできます。一方、飛行機はホバリングができない代わりに、速く、長い距離を飛べます。パワードリフト機は、この両方の特徴を組み合わせた機体です。
マルチローターの特徴
マルチローターは、機体の外側に配置した複数のローターを高速回転させて飛びます。上昇・降下、前後左右移動、ホバリング、水平方向の回転まで、1台でこなせるのが特徴です。
ローターの数によって呼び方が変わります。ローターが4基ならクワッドコプター、6基ならヘキサコプター、8基ならオクトコプターです。モーターの性能が同じなら、ローターが多いほど故障への耐性が高まり、ペイロード(積載可能重量)も増えます。
ただし、複数のローターを高速回転させ続けるため、消費するエネルギーは大きくなります。風の影響も受けやすいため、フライトコントロールシステムでローターの回転数を制御し、機体の姿勢や位置を安定させています。フライトコントロールシステムとは、センサーの情報をもとに機体を自動で安定させる制御装置のことです。
操縦は、送信機のスティック操作で行います。
| 操作の名前 | 機体の動き |
|---|---|
| スロットル | 上昇・降下 |
| ラダー | 機首方向の旋回 |
| エルロン | 左右移動 |
| エレベーター | 前後移動 |
センサーや送信機の仕組みは、機体の構成要素の解説で詳しく紹介しています。
ヘリコプター(回転翼航空機)の特徴
ヘリコプターは、1組の大きなローターで揚力を得ます。マルチローターに比べてローターの直径が大きく、空気の力を効率よく使って揚力を得られるのが強みです。
ただし、次のような機構が必要になるため、構造は複雑です。
- ローターの回転面を傾けたり、ローターのピッチ角(羽根の取り付け角度)を変えたりする機構(スワッシュプレートなど)
- ローターの反トルクを打ち消し、機首の向きを変えるテールローター
反トルクとは、ローターを回したときに、その反動で機体が逆方向に回ろうとする力のことです。垂直離着陸やホバリング、低速飛行ができる一方、大きなエネルギーを消費し、風の影響も受けやすい点はマルチローターと共通しています。
飛行機(固定翼)の特徴
飛行機は、翼に揚力を発生させて機体を支えます。このため比較的少ないエネルギーで、長距離・長時間の飛行が可能です。回転翼航空機よりも速く飛べる点も特徴です。
一方で、次のような制約もあります。
- 安全に飛べる最低速度が決まっており、それより遅く飛ぶことはできない
- 水平方向の離着陸に、機体の大きさに合った滑走路などの広いエリアが必要
- ホバリングや後退、横移動ができない(横に移動したいときは、機体を傾けて旋回するバンクターンで対応する)
低速で飛びすぎたり、上昇角度が急すぎたり、旋回半径が小さすぎたりすると、翼から空気が剥がれる「失速」という危険な状態になります。失速すると舵が効かなくなるため、飛行機の操縦には高い技能が求められます。特に難しいのは、手動操縦での離着陸です。
故障で推力を失っても、滑空状態になればすぐには墜落しません。ただし滑空するぶん、墜落や不時着をする場合の落下地点を狭い範囲に抑えることはできません。揚力や失速の仕組みは、飛行の原理の解説で詳しく説明しています。
パワードリフト機とは
パワードリフト機は、回転翼航空機のように垂直離着陸ができて、巡航中は飛行機のように前進飛行ができる機体です。一般には「固定翼VTOL機」と呼ばれることもあります。
技能証明で飛行させる場合は、回転翼航空機(マルチローター)と飛行機の両方の「種類の限定」が必要です。
4種類の機体を比較する
ここまでの内容を、比較表に整理しました。

| 機体の種類 | 離着陸方法 | ホバリング | 飛行速度・距離 |
|---|---|---|---|
| マルチローター | 垂直 | できる | 飛行機より遅く、短い |
| ヘリコプター | 垂直 | できる | 飛行機より遅く、短い |
| 飛行機(固定翼) | 水平(滑走路などが必要) | できない | 速く、長距離・長時間 |
| パワードリフト機 | 垂直 | できる(垂直離着陸時) | 巡航中は飛行機のように前進飛行 |
教則では、飛行機は回転翼航空機に比べて飛行速度が速く、エネルギー効率が高いため、長距離・長時間の飛行ができると説明されています。
最大離陸重量25kg以上の機体で変わること
最大離陸重量が25kg以上の大型機では、どの種類でも共通して、次の点に注意が必要です。
- 慣性力が大きくなり、加減速や上昇・降下に必要な時間と距離が長くなる
- 飛行時の騒音が大きくなり、周囲への配慮が必要になる
- 事故が起きたときの影響が大きいため、高い習熟度と安全運航の意識が求められる

このほか、機体の種類ごとに次のような特徴が挙げられています。
- マルチローター:離着陸やホバリング時の地面効果などの影響範囲が広がる
- ヘリコプター:操舵したときの機体の反応が遅れ気味になるため、ホバリングでは早めの操舵が必要
- 飛行機:主翼面積が大きくなるぶんペイロードを増やせ、ガソリンエンジンなど動力の選択肢も広がる。緊急着陸地点も広い範囲で選ぶ必要がある
地面効果とは、機体が地面に近いときに、ローターの吹きおろしの気流が地面付近で滞留し、揚力が増す現象です。くわしくは離着陸操作とGNSSなし操縦の解説で説明しています。
夜間飛行・目視外飛行で必要になる装備
機体の種類とあわせて、教則では飛行の方法によって必要な装備が変わることも説明しています。
夜間飛行
夜間(日没から日出まで)に飛行させる場合は、承認が必要です。機体には、姿勢や向きが正確に視認できる灯火を備える必要があります。ただし、飛行範囲が照明などで十分に照らされている場合は、この限りではありません。
機体のビジョンセンサー(カメラで周囲を認識するセンサー)が夜間に対応していない場合は、衝突回避や姿勢安定などの安全機能が使えない可能性がある点にも注意しましょう。
目視外飛行
目視外飛行では、操縦者が機体を肉眼で直接確認できません。周囲の安全を確認する補助者を配置する場合でも、次の装備が必要です。
- 自動操縦システムと、機体の外の様子を監視できるカメラ
- 機体の高度・速度・位置・不具合状況などを地上で監視できる操縦装置
- 電波が途切れたときの自動帰還や空中停止などの「フェールセーフ機能」(不具合が起きたときに安全側に動作する機能)
補助者を配置しない場合は、さらに次の装備が追加で求められます。
- 航空機(有人機)から機体を見つけやすくする灯火・塗色
- 飛行経路全体の航空機の状況を、機体や地上のカメラなどで常に確認できる設備
- 第三者に危害を加えないことを、製造事業者等が証明した機能
夜間飛行・目視外飛行を安全に行うための運航方法は、夜間飛行・目視外飛行のリスク管理で解説しています。
機体の種類と技能証明の関係
無人航空機操縦者技能証明は、機体の種類ごとに限定されています。マルチローターに限定された技能証明で、ヘリコプターや飛行機の特定飛行を行うことはできません(飛行の許可・承認を受けた場合を除く)。
別の種類の機体で特定飛行を行う予定がある場合は、限定の変更が必要になる点も覚えておきましょう。機体登録から技能証明までの手続きの流れは、機体登録から技能証明取得までの流れで詳しく解説しています。
よくある質問
マルチローターとヘリコプターは何が違いますか
ローターの数と直径が違います。マルチローターは複数のローターで飛び、ヘリコプターは1組の大きなローターで飛びます。ヘリコプターの方が、空力的に効率よく揚力を得られます。
飛行機はなぜホバリングできないのですか
飛行機は、前進する推力で空気をとらえて翼に揚力を発生させる仕組みだからです。前に進み続けないと揚力が生まれないため、空中で静止するホバリングはできません。
パワードリフト機の技能証明はどうなりますか
回転翼航空機(マルチローター)と飛行機の、両方の種類の限定に係る資格が必要です。
25kg未満の機体なら、大型機の注意点は関係ありませんか
教則の大型機に関する注意点は、最大離陸重量25kg以上の機体が対象です。ただし25kg未満でも、機体が大きく重くなるほど、慣性力などの影響は大きくなります。
地面効果とは何ですか
機体が地面に近いときに、ローターから吹きおろす気流が地面付近で滞留し、揚力が増す現象です。大型のマルチローターほど影響範囲が広がり、離着陸やホバリング時の操縦が難しくなります。
夜間飛行の灯火は、どんな機体でも必要ですか
原則として必要です。ただし、飛行範囲が照明などで十分に照らされている場合は、この限りではありません。
まとめ
無人航空機の主な機体は、マルチローター・ヘリコプター・飛行機・パワードリフト機の4つです。垂直離着陸とホバリングができる回転翼航空機に対し、飛行機は速く、エネルギー効率が高く、長く飛べます。
最大離陸重量25kg以上の大型機では、慣性力や騒音などの注意点が加わります。機体の種類ごとの特徴を理解したうえで、技能証明の種類の限定も確認しておきましょう。
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出典:国土交通省「無人航空機の飛行の安全に関する教則」第5版(4.1・4.2)


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